2015年7月16日木曜日

6C33C-BハイブリッドDCパワーアンプ


6C33C-BハイブリッドDCパワーアンプの製作・調整

オーディオDCアンプ製作のすべて(下巻)

(完成:2005年5月17日)

  
初段:2SK117BL
2段目:2SC1967
終段管:6C33C-B×4 (OTL)

電源:+207V/-290V(ドライブ段)、±160V (パワー段)
DC検出保護回路付き

No.140を作り直した。粘り強い低音を備え、なかなか良い雰囲気を出す。暑い夏季に使うとアイドリングの上昇が不安。









No.140をつぶして製作。出力管の損傷でドライブ段まで壊れるのは許せないので、DC検出保護回路付の本機を作ることにした。2段目がFETでなく、バイポーラTr.であるのも音質的に良さそう。製作記事から下記の変更を実施。

電源の変更:
No.140と同じ電源トランスを使うために、初段の-16Vの代わりに終段用-160Vを使った。(12kΩスケルトンで電圧降下させたところ、いい具合に-16近くになった。損失は1.7Wくらい。)
初段およびドライブ段の+207Vは、+47Vに終段の+160Vを足して作った。

保護回路の変更:
出力のDCオフセット検出にてパワー段電源をカットオフする保護スイッチングには2SK851を使用。(No.143の生き残りUHCを使用)。オリジナルは保護動作時にカットオフするためのものであるが、パワーオンするためにも使用することにした。すなわち、パワー段電源投入をオリジナルのようにタイマーリレーの接点でオンするのではなく、タイマーリレー(松下製:小電力用)の動作でカットオフ回路をリセットすることでパワー段電源を投入している。しかし、時々誤動作でカットオフすることがある。(プリアンプ電源を入り切りしたとき。再現性がない)

DC検出回路の変更:
マイナス電源には-16Vの代わりに終段用-160Vを使った。耐圧を考慮し、マイナス側電位検出のTr.を変更した (2SA872A  → 2SA1225 、2SC1775A → 2SC3425)

そのほか:
MFBのVRは省略。(スピーカが安いのでMFB調整の違いがわからない^_~;)




【製作】

↓部品面: 半固定VRはサポートを使用せず、基盤に直接挿入半田付け。


↓半田面
部品のリードは折り曲げた後、ランドからはみ出さないようになるべく短く切ったほうが半田の盛りがきれいなドーム状になる。
-300VGNDと隣り合ったところは特にショートしないように注意。


↓ケース内部

【調整】
電圧増幅段のみを動作させ、出力管のグリッド抵抗(68kΩ)の両端電圧を測る。両方が同じ(-70Vくらい)になるように初段の50ΩVRを調整する。
出力管とタイマーリレーをセットし、電源投入。2分後にリセット動作し±160Vがオン。トランスがうなりだす。アイドリング電流(+側プレートと+160Vの間に10Ωの酸金抵抗を入れて両端電圧を測る。3V = 300mAとなる)は100mA程度。2段目のVR500Ωの調整でアイドリングを300mAまで増やす。(ケース内温度により変化するので時間をかけて安定するところを見つける必要あり)

【使用感】
トランスのうなり音が結構気になる。
とにかく熱くなる。中の配線が大丈夫か気になる。事故が起きる前に定期点検が必要だろう。(保護回路のC-MOS ICは大丈夫か?)
周囲温度によりアイドリングが落ち着く場所が違うようだ。大体安定してきたが、しばらくして計ってみたら350mAを超えていたりする。調整して300mAに戻したが、気温が30度を超えるような季節になるとまた違ってくるだろう。
スピーカに耳を近づけるとハム音みたいなノイズが結構している。No.140のときより悪くなったようだが、離れて聞いている分には特に気にならない。



アイドリング電流の安定が気になる。データロガーで計ってみた。


計測:2005/6/4室温:29~30℃電源投入直後からCDでしながら測定。(すと発熱くなるのでわざとそうした)電源投入から1時間くらいまでは上昇傾向だが、2時間にかけてやや下降する。ケース温度がピーク安定し、サーミスターによる温度補償いてきたのだろう。

 



2005年9月4日:簡易点検結果】
かなり熱い動作環境なのでそろそろ中が大丈夫か心配。中をあけて基盤を見ると、半田面のランドの周りが茶色に変色している。
フラックスが焦げているようだ。特に2段目2SC1967の周りの変化が激しい。半田はまだ若干輝いているので実質は問題ななさそう。


2006年5月27日】
初段およびドライブ段の電源を変更して音の変化を試してみた。No.186用に作った外部電源を使った。+230V, -330V, -16Vを使う。アイドリングおよびオフセットは再調整した。6C33C-Bが上下そろっていれば良いのだがバランスが悪いとグリッド電位を揃えていてもオフセットが0.6Vを越えるのでDC検出保護がすぐに動作してしまう。調整時は保護をはずしておくべし。
アイドリングは150mA程度。ちょっと以前より音がぼやけた感じがする。低音の輪郭もやや丸い。これが整流管とダイオードの違いなのだろうか。一言で言うと刺激が少ない音。悪く言えば以前より分解能が悪いのだが、全奏でやかましい音にならずに各パートの演奏が分離して聞こえるような気がする。しばらく演奏を楽しむ。アイドリングは250mAくらいまで上昇。アンプの音であることを忘れて聞いていると突然、「ぼつっ」という大音響とともに保護が動作した。やれやれまた6C33C-Bが飛んだのか、と冷えてから管を確認したがカソードの内部リードは切れていない。だぶんどこか部品が壊れている。(スピーカはもちろん大丈夫だった)

2006年6月3日】
壊れたと思われたが実はなんとも無かった。電源投入時のアイドリングもオフセットも正常であり、スピーカをつなぐと元通りの音が出た。
しばらく聞いているとまたしても「ぱんっ!」という音とともに停止。左Chの管が一瞬光ったように見えた。どうやらこれはスパークという現象らしい。よくわからないが気温も高めで放熱が十分でないせいで温度が高くなりすぎているのだろう。OTLで無理な動作をさせているとは言えこれでは安心して聞けない。このアンプはやはり冬季専用なのだ。

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