2016年6月18日土曜日

MCイコライザIVCアンプ(電流伝送式)

MCイコライザIVCアンプ(電流伝送式)

(参照文献:金田本 「電流伝送方式オーディオDCアンプ」より、p.85 「電流出力プリアンプ&電流入力パワーアンプ」)

バッテリー駆動のプリアンプからイコライザアンプの回路をとりだして製作した。
MCカートリッジにVICアンプを内蔵し、ターンテーブルから電流伝送された信号を増幅する電流入力イコライザアンプ。差動アンプを使わないシングル構成のTr回路。±4.8Vという低電圧電源で動作する。SAOCによるオフセット制御回路により、次段のプリアンプとのカップリングコンデンサーを不要としている。



■回路図


電源は±4.8Vが指定だが、手持ち電源の関係で、±12Vにした。一部の抵抗値を変更している。MCカートリッジに内蔵する2SK97には-12Vがかかるが、最大定格電圧に対して余裕はあり問題はない。



■シミュレーション

VICアンプの2SK97のSPICEモデルがないので2SK170GRで代用する。ここに4mAほど流れるのでISCで3mA流れるようにR3を調整するとSAOCから1mAくらいが注入されることがわかる。

ついでに周波数特性もシミュレーションしてみた。 30Hzあたりより下でゲインが下がっているのはSAOCの影響らしい。






■製作
1) 基板



2) MCカートリッジ + VICアンプ(2SK97)

カートリッジのピンに直接半田付けする勇気はなかった。


■調整

最初にISCとSAOCの配線を外した状態でTr3のベース抵抗を調整して出力オフセットをゼロにする。この抵抗値は初段の2SK117BLのIdssによってかなり違うようだ。だいたいゼロに近ければよい。次にISCとSAOCの配線を戻し、入力に調整用VICを取り付ける。そしてSAOCの出力Tr.の3.6kΩの電圧降下を測り3.6VになるようにISCのVRを調整する。ISCの2SJ103はIdssが2SK97の電流くらい流れるものを使わないとうまく調整できない。調整後のVRは100Ωより低いのでVRは200Ωでもよかった。

↓調整用VIC (2SK97のGS間はショート状態にする)


■完成


電池はNi-MH(eneloop)が指定だが、手持ちのLiPo(3セル)を使った。いずれはeneloopに交換しよう。

真空管プリアンプ(ラインアンプ)につなぐ。カップリングコンデンサ(0.1μF)は撤去した。
パワーアンプの出力トランスでスピーカへのDCはカットされているのでDC漏れは気にならないが、聞いた感じもゴロつきは心配ないレベル。針がレコードの溝をこする振動がダイレクトにスピーカを鳴らしてくる感覚が格段に高まった。これは異次元のレコード再生音だ。
LPのコレクションはあまりないが、数年前に中古本屋で買っておいたLP(一枚 $2~3)を引っ張り出してきた。Vnのソロは弓が弦の上をはねるときの表現とか高音の倍音がたくさん聞こえてくるのでもっと聞きたくなる。意外なのはこれまでレコード再生は難しいと思っていたピアノの音。弦をたたくアタック音がガツンと感じられ、高い弦に響いている余韻がわかる。演奏者の芸術をレコード盤に封じ込めた当時の録音技術者に感謝したくなる。アナログ再生の良さを見直そう。 

次に欲しくなってくるのはカートリッジの針の振動のパワーを作っているターンテーブルのモータのDCアンプ制御だ。

2016年6月8日水曜日

No.186 バイポーラTr.出力段DCパワーアンプ

No.186 バイポーラTr.出力段DCパワーアンプ

バイポーラTr出力段 DC パワーアンプ
No.186 + No.188 
無線と実験2006/2 & 2006/7


(完成:2008年1月20日)

 
初段:2SK177BL/カスコード2SC1775A/定電流2SC1775A
2段目:2SA606/定電流2SC4578
ドライブ段:2SC1161
終段:2SC681
電源:+100V/-120V(初段&2段目)、±36V(出力段)

秘蔵(?)のメタルCANトランジスタの出番だ。コストダウンのために電源を既設から分岐して足りない分だけを作る。

オリジナルからの変更点
・ 電源はダイオード整流。+100Vにはレギュレータを入れた。6AK5による誤差アンプなので立ち上がりの時間遅れを考慮して、終段電源の供給に電子式オンディレイ回路を使用。
 初段と2段目のマイナス電源は共通化し-120Vとする。
  MFB-Controlの省略


No.186 バイポーラTr.出力段DCパワーアンプ

2006/04/02
パーツ調達第一弾。近くの姫路ニノミヤが閉店となり、スイッチやコネクタ、ラグ板などマイナーな部品も通販で調達するしかない。ネット通販で適当なパーツ屋が見つかった(http://www.marutsu.co.jp) 日曜の夜にweb注文したら木曜日の夕方にとどいた。〒一律\500で小奇麗な箱に梱包されてきた。また利用したくなった。
アンプ基盤の配線パターンを回路図で確認しながらCADで書く。記事のパターンは部品面と配線面と分けて書いてあるので作業を間違えやすいし、記事のパターンが間違っているのでCADで書くことにしている。部品面で書いたあと、それをそのまま反転すれば配線面のできあがり。(部品面  配線面
2006/05/01電源を先に作ることにした。終段の±36Vは既設アンプから分岐するが、問題は初段と2段目の電源をどうやってつくるか。ちょっと前に真空管DCパワーアンプ用にRコアトランス(*)を特注で調達していたのでこれを利用する。しかし、+220Vは高すぎ。レギュレータで+100Vまで落とすのも無理があるだろう。ちょうど良い電圧タップが無い。なら、単相3線の200Vが使えないか。電信柱の上のトランスを使うわけだ。これを両波整流すれば130V位が得られるはずだ。リレーを使って200Vの使用/除外を切り替える回路を考えた。回路図(*) Rコアトランスはフェニックス (http://www.pnxcorp.co.jp)にメールで発注した。納期は約2週間とあるが、なんと1週間で手元に届いた。負荷試験成績書もついており、信頼のおける会社だ。単相3線は家を建てるときに200Vのコンセントをつけてもらったもの。本来はここに200V/100Vのステップダウントランスをつないでオーディオ用の電源にするつもりだったのだが、いまだにトランスが買えていない。
 2006/5/5単相3線の200Vを両波整流するのは無理のようだ。整流管がヒートアップして電流が流れ始めたとたんに家のブレーカが作動した。しかも全停。元ブレーカ(ELB)が中性線失相保護付となっており、このような中性線に電流を流す使い方はできないということなのだろう。潔くあきらめて単相100Vを直接整流しよう。半波整流になってしまうが、レギュレータの働きに期待することにした。ただし、単相100Vは必ず接地側がGNDに接続されるように注意だ。回路図

2006/5/6
電源が完成した(写真)。かなりの高密度実装となった。+側のコンデンサは手持ち1000μF(160V) の2個をシリーズにしたのだが、かえってコンパクトにまとまってよかった。レギュレータの出力はほぼ100Vであるが、立ち上がり時113Vくらいまでオーバーシュートすることがある。電源OFF時にはコンデンサのチャージを放電する抵抗をつけた。
2006/6/11アンプ基盤の製作を開始しているが、入力に入っているスケルトン100Ωの場所が回路図とパターン図で違っていることが判明。回路図では入力-アース間の680kΩが100Ωの後に入っているが、100Ωの前に入るのが正しいと思う。MJ2006/7DCアンプ記事では回路図が修正されていた。(この100Ωの目的は何か?真空管DCアンプの記事によると、高gm五極管や三極管の場合にはこのグリッド抵抗を入れないと動作が不安定になるとあるが似たような目的だろうか)
2006/07/22ある方から配線パターンのミスを指摘された。マイナス側終段Tr.E0.1Ωを介してGNDに落ちているというとんでもない間違い。MJ記事を確認すると同じように間違えている。基本的に記事のパターンは信じないほうが良いみたい。配線図は修正したが、実物はまだ修正していない。
2006/10/22電源を変更することにした。MJ2006/7No.188で発表された2段目のマイナス電源を初段のマイナスと共通化し、4電源とする方法。2段目のマイナス電源はドライブ段のそれより低い電位が必要なので、どうしても別電源が必要となる。この際、±120V程度の電源に作り直して、将来真空管プリアンプの電源と兼ねることにしよう。ただし、2段目のプラスは+100Vに抑えないと2SA606の耐圧が持たないのでやはり100Vレギュレータを入れよう。そうなると、真空管式レギュレータの電圧の立ち上がりを待ってドライブ/終段の電源を投入するディレイ回路が必要になる。タイマリレーを使えば遅延回路は簡単なのだが、電子回路で実現する方法をあれこれ考えているうちにMJ2006/11にそのものずばりのディレイ回路が発表された。すばらしい。これをちょっとアレンジ。
1. 
電源投入時にパルス信号でprotection動作に入れているがタイマがカウントアップするまでは強制的にprotection状態にしておくべきなので4040のカウント出力のNOTにてdet端子をゼロ電位に固定する回路を追加した。(Tr.一個追加)
2. カウントアップ時のリセットはNANDゲートと積分CRの組み合わせによるワンショットで行っているが、これを微分CRTr.で実現(NANDゲート一個削除)
3. カウント動作中にprotection表示LEDを点滅させる回路を追加(NANDゲート二個追加)
マイナス電源を-120Vに変更するための考慮
1) 
初段定電流の吸い込みに手持ち5.6kΩスケルトンを追加。(消費電力(120-12)2/5.6k = 2.08[W] なので定格いっぱい)
2) 
2段目定電流Tr.のベース電位固定ツェナーDの抵抗を91kΩに変更し電流を1mA程度に抑える。
3) 
出力DC検出回路Trの耐圧が120Vなのでマイナス電源には47VツェナーDによるレギュレータを追加。
2008/1/14電源をケースに組み込み完成。スイッチオフで終段の電源をすぐにカットしたほうが良いだろう。(スイッチオフのとき、ドライブ段の電源が落ちていく間にポップノイズが出るかもしれない)。そこで、電源スイッチの2回路目を利用して、スイッチオフで保護回路をセットする(DetGNDに落とす)ようにした。 電源ケース内
2008/01/19
1
年半以上もかかってようやく完成。ケースは以前作ったアンプの再利用。アイドリングは200mA程度にした。小さなケースだが全体がヒートシンクになると期待したが、終段Tr.の発熱よりもドライブ段の発熱が多くて中にこもってしまうので良くない。長時間使うとケースのなかは60℃以上になる。
アンプケース内
2008/2/11バイアンプ式にして使ってみる。最初、本機を高音(TW+MID)用にしたが音量を上げたときの高音の歪っぽい音が良くない。やはりエミッタ抵抗は除きたい。低音用に変更すると今度は低音の力強さが少し劣る。でもバイアンプ式は確実に音像が立体的になって、オケ曲は楽器の数が増えたように聞こえる。

2008/5/28
DACが一応完成し聞いているがどうも気に入らない音だ。耳の奥が痛くなってじっくり聴く気がしない。終段Tr.を交換してみることにした。サーミスタの付け替えだけが面倒だ。カッターの刃で剥ぎ取ってエポキシを割りとってから再度接着する。
Tr.は2SC681。どんな音がするのか楽しみだったが、失敗した。出力にダミーロードをつけ忘れて電源を入れたら一瞬にして発振したようで、壊れた。2SC1161もだめ、2段目定電流の2SC4578も片方がだめになっていた。今では2SC4578はもう手に入らないようだ。2SD756で代用しようと思ったがVceoMax=120Vでは耐圧がぎりぎりだ。最近の金田式では2SC2230 (VceoMax=160V)が使われているが、オリジナルの石が欲しい。6C33C-Bハイブリッドアンプに使っているのを思い出した。+電源電圧を50Vにすれば初段のカスコードは省略できる。

2008/6/21
2SC681の音は可もなく不可もなく、2N3055(モトローラ)との差は大きくない。終段Tr.がまた壊れた。高域で発振しているのかもしれない。
Tr.の交換のたびにサーミスタを接着するのは面倒なので、放熱器の中に埋め込んだ。

 
 

DAコンバータ




DAコンバータ

無線と実験2008/3&4
   
(完成:2008年7月26日)

DAI: CS8416 , DAC: PCM1794
IVC出力: 2SA606
DSC出力: 2SC959

アンプではないが、デジタル処理後のアナログ出力にDCアンプを使っている。
デジタル部は既製の配布基盤を使用した。

DAC (Digital to Analogue Converter)の製作

いよいよ金田式DACが無線と実験誌に発表された。デジタル部の製作は既製の配布基板を使ったほうが製作容易と判断し、「Fujiwara’s お気楽DAC3」の基板+主要部品セット(\13,500)を利用する。〒500\ですぐに送ってくれた。ありがたい。基板は両面スルーホールとなっており金メッキ仕上がきれい。デジタルICだけでなく、3端子レギュレータとヒートシンク、チップコンデンサ、電源用フィルタコンデンサまで付いている。
http://www20.tok2.com/home/easyaudiokit/DAC1794D-2/DAC1794D-2.html

部品調達:
ケース、トランス、抵抗、コンデンサ他は  マルツに注文  \18,000オペアンプ、I/V変換用のニッコーム抵抗、ロータリースイッチは若松に注文 \7,000

入力の構成:
入力1: 同軸
入力2: 同軸
入力3: 
入力4: USB (VICSPCM2704使用USBオーディオキットを利用する)




2008/3/8完成。電源投入し+3V, +5V, ±15Vが正常であることを確認。出力に異常なオフセット電圧が無いことを一応確認。
CD
プレーヤの同軸出力を接続して視聴。一応鳴っているが低域が充実していない。高音の響きが劣り立体感にかける。
オペアンプはこんなものか。アナログ部のコンデンサに積層セラミックを使ったのがまずいのか。これではCDプレーヤのアナログ出力のほうがましだ。
USBPCM2704のデジタル出力(5番ピン)から線を引き出してこれを直接入力4の同軸入力に接続した。バ
ッファもないがこれで一応音は出た。









2008/3/20
オペアンプのローパスフィルタ用コンデンサをニッセイのポリプロピレンフィルムに交換した。心持ち低音が出るようになった。CDプレーヤとのデジタル接続ケーブルを記事の指定どおりモガミ2497に変えたところ、緻密な音になったような気がする。
2008/03/22MJ2008/4月号の記事に従い、+5Vレギュレータをつくった。ただし出力Tr.2SC1161に変更(回路図)。デュアルTr.2SC1583は入手困難だ。たまたまオークションで一個入手できたが、記事をよく読むと2SC1775で代用可とある。簡単な回路だが例によってVisioで基板配線図を描いた。
入力に13.5Vを入れてテストした。出力電圧が5Vを超えていたので出力検出の分圧抵抗を変更した。基準電圧のツェーナDiが記事どおりの電圧を発生していないようだ。出力は5.1Vまで下がったのでこれで良しとした。2SC1161のエミッタ抵抗は過電流検出用だが5.6Ωでは100mAで電流制限がかかってしまう。適当な抵抗が無いのでMPC74 0.1Ωにした。これでは保護がかからないので出力ショートは厳禁だ。

DAC
基板から2つの5VレギュレータICを撤去。3.3Vレギュレータは残す。整流Diは31DF2に交換。+5Vレギュレータ基板はDAC基板に固定して2階建てとし、ケース内平面スペースを節約した。
+5Vレギュレータの効果は絶大だ。響きが良く出るようになった。高音がサクサクと出る。楽器の倍音の出方が明らかに違う。ピチカートがそれらしく聞こえる。これはCDプレーヤのアナログ出力を超えた。
2008/04/13ケース内のスペースが半分空けてあるのはディスクリートのアナログアンプを入れるためだ。このDCアンプの実現は入手難の2SC959/2SA606の存在にかかっている。バッテリー式8W DCアンプをばらすことにした。しかし2SC9594個しかない。そこで変則的だがIVC2SA606を使ったP-typeとし、DSC2SC959を使ったN-typeとする。問題は電源電圧だ。MJの記事では+と-で電圧が違うため、P-typeN-typeの混在では4種類の電源が必要となってしまう。トランス2次巻き線をセンタータップ式にすればダイオード数はブリッジ式の半分で済むが、平滑コンデンサは4個必要となる。何とか±同電圧で済ませられないか検討したがよくわからない。IVCは-側にオフセットさせた状態で動作するため、N-typeなら+電位は低くても良いのだが2SA606を使うため結局マイナス電源は深い電位が必要だ。いっそのこと妥協して±30Vの2電源でよいのではないだろうか。電源は後回しにしてアンプの製作にかかる。
2008/4/26
+5
レギュレータ電源の平滑コンデンサをBlack gate (4700μF/16V ×2)に交換した。低音の輪郭がしっかりした印象に変わった。低音がしっかりすると高音も良く聞こえる気がする。

2008/4/29
出力アンプの製作を開始。2SC959/2SA606にはヒートシンクをつけたほうが良さそうなので配線パターンを変更してぶつからないようにした。
DSC
の回路の変更。初段の定電流はTrとツェナーDiの組み合わせとした。Trを交換して音質の変化を確認したいからだ。(基板パターン図)
LPF
SEコンデンサはDipマイカに変更しコストダウンをはかる。

2008/5/4
基板の組み立て。24977本ヨリ線を作るのは大分慣れたが半田付け箇所はかなりの数になる。部品の足はランドからはみ出さないようにカットし半田で仮固定する。ヨリ線を置いてこれも仮固定する。最後に各接続点に半球状に半田を盛っていく。こて先を細いものに交換したためか短時間に十分な熱が伝わらず、光沢のあるきれいな半球になりにくい。ANTEXのこて先が欲しい。位相補正のSEコンデンサはMJ記事の指定どおりの容量。SEコンデンサは文字の書き終わり側がHOTだ。基板が完成
電源はAC18Vを整流したレギュレータなしの約DC25VIVCの調整。2SA606に流れる電流Ioを確認するためエミッタ抵抗47Ωの電圧を測定する。初段の定電流用2SJ103BLIdss7mA程度なのでMJ記事の定数とはちょっと違う。2段目2SK245の共通ソース抵抗3kΩでは大きすぎるので2kΩにしたが、Io16mAを越えていたので2.2kΩにした。これでIo14.7mAとなった。入力にDAC基板をつなぐ前にオフセット電圧の調整。IVC 1台目は問題なかったが、2台目はオフセットをゼロに追い込めない。初段2SJ103BLのペア選別を間違えたようだ。仕方無いのでVR 50Ωの片側に30Ωの固定抵抗をかませた。
DSC
の調整。2段目2SJ103の共通ソース抵抗は記事どおり2kΩ。オフセットは問題なくゼロに調整できたが、温まってくると若干の変動あり。初段定電流をTr.式に変更したからかだろうか。ようやく完成(写真)。
電源は±15Vのレギュレータをはずし、トランス2次出力18V-0-18Vの直接整流とする。動作時の電圧は±22Vくらいしかない。
音を聞いてすぐにクリアな音であることはわかった。しかししばらく聞いたが「感動に満ちた音」には聞こえない。刺激が強くて耳の奥が痛くなる。電源電圧が足りずに歪んでいるのであろう。DSCの初段定電流Tr.を2SC1775Aから2SC1400に変えたところ多少おとなしい音になったのでこっちのほうが良い。 動作中の2SC959/2SA606は触れないほどに熱くなる。
2008/5/18
電源電圧不足を確認するため、試しにパワーアンプの±36Vを仮につないで見ると明らかに滑らかな音になる。
電源電圧不足の影響をオシロで調べてみる。テストシグナルはPCを使ってUSBで入力する。信号発生ソフトはWaveGene。
下の図は±22V供給のとき。無残な結果だ。IVC出力(黄色)のプラス側は良いのだが、マイナス側が-13.7Vでクリップしている。この影響でDSCの出力(紫色)もピークが潰れて±8V程度になっている。
電源にちょっと細工をして-28V/+32Vにしたところが下の結果。フルスイングできている。-電源は-30V程度必要である。

2008/5/31
フェニックスに発注したRコアトランスが届いた。やはり一週間で特注品が入手できるというのはすばらしい。
2次電圧は 0-22V(0.7A) ×2 と 0-7V(1A) としてもらった。

整流Diが4本しかないので、センタータップ式の両波整流とし、±30Vを得る。

これで一応の完成。確かに今までにない超分解能でクリアな音ではあるが、ちょっと刺激的過ぎる。どうしても耳が痛くなる。

Tr.式のパワーアンプを止めて、真空管アンプ(EL34)にすると、これがいい感じである。これでしばらくエージングしよう。
2008/7/26
Tr.アンプに戻して聴いているが最初のころの刺激的な音は感じなくなった。DACがエージングされたのか自分の耳が慣れたのかはわからない。DSCの470pFをSEコンに交換した。中低音のエネルギー感がよくなったように聞こえる。IVCの2200pFはディップマイカのままだ。

整流Diをもう4本入手したので、記事どおりの±独立電源にした。運転時の電圧は±31V位である。±独立電源の方がよいはずだが確かに低音の動きがより素早くはっきりとする。中高音もサクサク出るようになった気がする。
2008/11/3
+5Vレギュレータの出力Tr.を2N3741に交換した。これでオリジナル回路とおりインバーテッドダーリントンになる。回路図
ついでに電流検出用のエミッタ抵抗0.1Ωは1Ωに交換した。

2008/11/15
+3.3Vレギュレータが完成。出力Tr.は2SA606にしたので若干のパターン変更あり。(基盤配線図
2SC1583は入手不可なので2SC2259で代用した。

 

+3.3Vレギュレータの効果は確かにあった。どう良くなったかは表現できないがより自然な音に近づいたのではないだろうか。